
「30kmの壁」「後半の失速」――
その原因の多くは“エネルギー切れ”、つまりグリコーゲン(糖質の貯蔵)が足りていない状態です。
それを防ぐために多くのランナーが実践しているのが「カーボローディング(Carbohydrate Loading)」。
この記事では、初心者にもわかりやすく、サブ4・サブ3を目指す方にも実践できる、レース前のカーボローディング完全解説をお届けします。

38歳3児のパパランナー。
2011年に現役を引退。地元に戻り、香取小江戸マラソンや地域イベントにも積極的に参加。会社員をしながら市民ランナーとして活動。YMD NEXT×RUNの指導をオンライン中心に展開中。
【実績・経歴】
・山田中学校
県大会優勝、県駅伝優勝
・市立船橋高校 (体育科専攻)
県大会優勝、インターハイ出場
・駒澤大学 (文学部心理学科専攻)
2009年箱根駅伝第4区出場、関東インカレ決勝進出
・富士通
大田原マラソン第3位、パリマラソン17位(アジア1位)
✅ カーボローディングとは?
● 意味と目的
カーボローディング(略して“カーボロ”)とは、レース前に意識的に炭水化物(糖質)を多く摂取して、筋肉内のグリコーゲンを満タンにする食事法です。
マラソンでは、約30km以降から体内のグリコーゲンが減少し“ガス欠状態”に
→ これを防ぎ、最後まで走り切るための準備がカーボローディングです。
✅ カーボローディングの仕組み
筋肉内には最大で約400gのグリコーゲンが蓄えられます。
これに肝臓内(約100g)も加わると、合計約2,000kcal分のエネルギーがスタンバイできる状態になります。
この“満タン状態”を作ることで、レース中の失速・ハンガーノックを防ぐのです。
✅ 実践方法|レース1週間前からの流れ
【STEP 1】調整期(6〜4日前)
- トレーニング量を通常の50〜70%に減らす
- 炭水化物は“いつも通り”でOK
- 食物繊維や脂質は少し控えめに(消化負担を減らす)
✅体重が少し増えても問題ありません。それは水分とグリコーゲンの“蓄え”です!
【STEP 2】カーボ強化期(3〜1日前)
● ここがポイント!
- 炭水化物の割合を1日の総摂取カロリーの70〜80%に
(通常の倍近くになることもあります)
● 具体的な食事例
食事 | メニュー例(和食派) | メニュー例(洋食派) |
---|---|---|
朝食 | ご飯、卵焼き、バナナ、味噌汁 | トースト、ゆで卵、オレンジジュース |
昼食 | うどん+おにぎり、果物 | パスタ、野菜スープ、パン |
夕食 | 白米、肉じゃが、ほうれん草のおひたし | リゾット、グリルチキン、野菜炒め |
✅脂質の多い揚げ物や洋菓子は控えめに!
【STEP 3】レース前日
- 昼食:通常の2倍の炭水化物量を摂ってもOK
- 夕食:消化の良い食事を選ぶ(うどん、雑炊など)
- 水分もしっかり摂取(水+電解質)
✅「食べ過ぎ」でお腹が張るのはNG。腹八分目を意識
✅ レース当日の朝食(3〜4時間前)
- 目的:起床後の肝臓グリコーゲンを補う
- 例:おにぎり2個+味噌汁+バナナ+水
✅脂質や食物繊維は控えめに(お腹に残る)
レース30分前
- エネルギージェル+少量の水
- トイレのタイミングにも注意
✅ カーボローディングのよくある失敗例
失敗パターン | 原因 | 改善ポイント |
---|---|---|
急に食べすぎて胃もたれ | 1日で糖質を詰め込もうとした | 3日前から徐々に増やすことが大切 |
脂質の多い食事ばかり | カレー、ラーメン、揚げ物など | 油を控えたシンプルな和食中心に |
野菜を食べすぎて下痢に | 食物繊維が多いと逆効果 | 火を通した野菜や量を調整する |
✅ よくある質問(Q&A)
Q1. 糖質って太るんじゃない?
→ 運動量に見合った糖質は太りません。マラソン前はむしろ不足がリスク。
Q2. パスタだけ食べていればいいの?
→ 単品では栄養バランスが崩れるので、タンパク質や野菜も少し加えるのが理想。
Q3. 市販のエネルギージェルは必要?
→ レース中に“補給のスキマ”を埋める意味では非常に有効です。
✅ まとめ|カーボローディングは“走り切るための準備”
レースの成功は、前日から始まっている。
カーボローディングは、練習の成果を最大限に引き出す“最後の仕上げです。
✔ 3日前から徐々に炭水化物量を増やす
✔ 消化の良いメニューを選ぶ
✔ 脂質と食物繊維は控えめに
✔ 前日は食べすぎず、当日は時間に余裕を持って
この4ステップを押さえれば、レース当日に「最後まで走り切れる」自信がつくはずです。
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