【元箱根・実業団ランナーが語る】ランナーの食事は何を食べるべき?走力別・栄養戦略を徹底解説

目次

はじめに

はじめまして。私は、「YMD NEXT×RUN」というオンライン型ランニングクラブを立ち上げ、全国の中高生から一般ランナーまで、幅広い世代に向けて練習サポートを行っています。
自身は中学・市立船橋高校・駒澤大学・実業団(富士通)で陸上競技を経験し、箱根駅伝やパリマラソンにも出場しました。引退後もランニングを続け、地域の大会では招待選手として走らせていただいています。

このブログでは、これまでの経験や指導で培ったノウハウをもとに、ランナーの皆さんが「次の一歩」を踏み出せるような情報をお届けしています。

\3児の子供たちのパパランナー/

【実績・経歴】

・香取市山田中学校

 県大会優勝、県駅伝区間賞

・市立船橋高校 (体育科専攻)

 県大会優勝、インターハイ出場

・駒澤大学 (文学部心理学科専攻) 

 2009年箱根駅伝第4区出場、関東インカレ決勝進出

・富士通株式会社

大田原マラソン第3位、パリマラソン17位(アジア1位)

引退後は社業に専念。会社員をしながら市民ランナーとして活動。「人の役に立ちたい、力になりたい」という思いから、YMD NEXT×RUNの指導を展開中。

1. ランナーにとっての食事とは何か?

ランナーの食事は「栄養を摂るための行為」ではなく、「パフォーマンスを最大化するトレーニングの一環」として位置付けるべきです。食べる内容、量、タイミングは、走る内容と同じくらい重要です。

  • 疲労回復
  • 筋肉の修復と成長
  • エネルギー維持
  • 免疫力の維持
  • レースパフォーマンス向上

これら全てが、食事の設計によって左右されます。


2. 栄養素の基礎知識

炭水化物(糖質)=エネルギーの主役

  • 筋肉や肝臓にグリコーゲンとして蓄積
  • 持久走では“ガス欠”防止に不可欠
  • 摂取源:ご飯、パン、パスタ、果物、芋類

タンパク質=筋肉の材料

  • トレーニング後の筋肉修復に不可欠
  • 摂取源:鶏肉、魚、大豆製品、乳製品、卵

脂質=長時間の運動エネルギー

  • ランナーは適度な脂質も必要(脂質制限は逆効果)
  • 良質な脂:ナッツ、アボカド、青魚、オリーブオイル

ビタミン・ミネラル=調整役

  • 鉄分不足 → 貧血、持久力低下
  • ビタミンB群 → エネルギー代謝の要
  • カルシウム・ビタミンD → 骨強化
  • 摂取源:野菜、海藻、魚、キノコ類、レバー

水分・電解質=体温調節と代謝促進

  • ランニング中は1時間で1リットル近く汗をかくことも
  • ナトリウム・カリウム補給も意識

✅詳しくはこの記事もどうぞ!

ランナーのための栄養素の基礎知識|走りを支える6つの必須成分とは?


3. 目標別の食事戦略

減量したいランナー向け

  • 摂取カロリー<消費カロリー
  • でも糖質は減らしすぎない(ガス欠の元)
  • 高タンパク・低脂質が基本
  • 食事タイミングを一定にして間食を計画的に

スタミナをつけたいランナー向け

  • 炭水化物を意識的に多めに摂る
  • 食物繊維を摂りすぎると消化不良に注意
  • 鉄分・ビタミンCで酸素運搬能力向上

スピードを上げたいランナー向け

  • 筋合成を助けるためにトレ後30分以内のタンパク質摂取
  • クレアチンやBCAAの導入も検討

4. 練習前後の食事タイミングと内容

時間帯内容と目的食事例
練習3時間前軽めの炭水化物中心、脂質は控えるおにぎり+バナナ、エネルギーゼリー
練習直後(30分以内)糖質+タンパク質をゴールデンタイムに摂取牛乳+プロテイン、納豆ごはん、バナナ
練習3時間後通常の食事+野菜でバランスよく鶏胸肉の定食+味噌汁+ご飯+青菜の和え物

5. レースに向けたカーボローディング

1週間前〜3日前

  • トレーニングを軽めにし、徐々に炭水化物を増やす
  • 水分と塩分も意識
  • 白米、うどん、フルーツゼリーなどを中心に

前日

  • 炭水化物は最大化、でも脂質と食物繊維は控えめ
  • 例:うどん+卵、食パン+ハチミツ+ヨーグルト

詳しくはこの記事もどうぞ!!

▶レース直前のカーボローディングとは?|やり方・タイミング・NG例を徹底解説!


6. レース当日の食事と補給

  • スタート3時間前: 白米おにぎり2個+バナナ+味噌汁
  • スタート30分前: エネルギージェル+スポーツドリンク200ml
  • レース中(30km以降): ジェル1個+水(給水所で)

7. 練習量・走力別の食事例

初心者(週3回走る人)

  • 食事で無理に糖質制限せず、間食や夜食の内容を見直す
  • 朝:ご飯+納豆+味噌汁、昼:パスタ+野菜、夜:魚+ご飯+サラダ

中級者(サブ4〜3.5)

  • 高タンパク・高炭水化物+ミネラル意識
  • 間食にプロテインバー・ゼリーを活用

上級者(サブ3〜2.5)

  • グリコーゲンローディングの知識を活用
  • 食事量が多くなるため「消化に良い」ことも重要
  • 鉄分補給と抗酸化食品(ビタミンC・E)を意識

8. よくあるNGパターンと改善例

NG食習慣改善アドバイス
ラーメン・揚げ物が多い消化の良い主食+脂質控えめに
夕食が遅くてドカ食い小分けにして19時前後に軽く摂取
朝食を抜いている走る日は特に、糖質+タンパク質を摂取

9. サプリ・プロテインの正しい使い方

ランナーにとってプロテインやサプリは、栄養を“補う”手段基本は食事で栄養を摂り、不足時に活用しましょう。トレーニング後はホエイプロテインを30分以内に摂ると筋肉の修復を助けます。強度の高い練習前後にはBCAAやEAAが有効。女性は鉄分+ビタミンCで貧血対策も。大事なのは「必要なときに、必要な量だけ」。サプリに頼る前に、まずは食生活の改善を意識しましょう。

  • プロテイン: トレ後30分以内+朝食代わりにも活用
  • 鉄サプリ: 医師と相談の上、女性ランナーにおすすめ
  • BCAA/EAA: 強度の高いトレーニング時の回復支援

✅サプリメントについて、詳しく知りたい方はこの記事もどうぞ!

▶ランナーのためのサプリメント・プロテイン完全ガイド|必要な栄養素と選び方

10. 1週間分の食事メニュー例

1週間分の食事メニューのモデルです。練習の内容(jogやスピード練習、距離走)によって食事の量や内容は調整します。

朝食昼食夕食
月曜日ご飯、納豆、卵焼き、味噌汁、バナナ鶏胸肉と野菜の炒め物、玄米、味噌汁焼き鮭、大根サラダ、雑穀ごはん、豆腐の味噌汁
火曜日パン、ゆで卵、ヨーグルト、りんご、牛乳豚の生姜焼き、白ごはん、キャベツの千切り、味噌汁麻婆豆腐、青菜のナムル、ご飯、わかめスープ
水曜日おにぎり(梅・鮭)、味噌汁、キウイサバの味噌煮、ひじき煮、玄米、味噌汁鶏団子鍋(白菜・豆腐・春菊)、うどん
木曜日トースト、目玉焼き、ベーコン、ヨーグルトチキンカレー、サラダ、フルーツブリの照り焼き、小松菜のお浸し、麦ごはん、味噌汁
金曜日雑穀おにぎり、味噌汁、温泉卵、みかん牛丼、味噌汁、青菜炒め白身魚のムニエル、ポテトサラダ、玄米、コンソメスープ
土曜日バナナ、ヨーグルト、オートミール、ナッツ冷やしうどん(鶏肉・ねぎ・卵)、果物豚しゃぶサラダ、雑穀ごはん、味噌汁
日曜日ホットケーキ、スクランブルエッグ、ミルク焼き魚定食(さば・ごはん・味噌汁・漬物)豆腐ステーキ、野菜炒め、ご飯、味噌汁

11. 食事管理の方法

食事の管理は、現状を把握し、改善ポイントを見つける第一歩です。多くのランナーが「食べてるつもり」「バランスよくしているつもり」になりがちですが、記録することで初めて“実態”が見えてきます。

おすすめアプリ:

  • あすけん(日本語、使いやすく食材登録数も豊富)
  • MyFitnessPal(英語中心だがトレーニングとの連携が強い)
  • カロミル(シンプルな日本語UI)

ポイント:

  • 体重・摂取カロリー・PFC(たんぱく質・脂質・炭水化物)バランスを確認
  • 特に「タンパク質不足」と「脂質過多」が見えやすくなる

方法2:写真で記録

  • 毎食スマホで撮影してGoogleフォトやLINE Keepに保存
  • 週末に見返してバランスや食べ過ぎをチェック

方法3:ノートに簡単記録(アナログ派向け)

  • 朝・昼・夕・間食をそれぞれ手書きで記録
  • トレーニング日誌と一緒にまとめると効果的

12. 疲労回復・免疫力強化の食事

疲労回復を助ける食材と栄養素

栄養素効果食材例
クエン酸乳酸の分解を助ける梅干し、酢、柑橘類、黒酢ドリンク
ビタミンB群エネルギー代謝を促進豚肉、納豆、レバー、卵
タンパク質筋肉の修復・合成鶏肉、魚、豆腐、卵、プロテイン

免疫力を保つ食習慣

  • 腸内環境を整える: ヨーグルト、納豆、キムチなど発酵食品を毎日
  • ビタミンC: ピーマン、ブロッコリー、いちご、柑橘類で毎日100mg以上
  • 鉄分: 特に女性は月経時に貧血注意。レバーや赤身肉+ビタミンCで吸収促進

✅詳しくはこの記事もどうぞ!

▶疲労回復・免疫力強化に効く食事術|走り込み期・レース後・体調不良予防にも!

13. 季節・環境別の注意点

夏(高温多湿)

  • 水分+電解質の補給が最優先
    • 練習30分前から水またはスポーツドリンクで500ml程度摂取
    • ナトリウム入りタブレットや梅干しも有効
  • 冷たいものを摂りすぎると内臓が冷えてパフォーマンス低下

冬(寒冷時期)

  • 温かい汁物・鍋料理で体温維持
    • 味噌汁・スープは一日1〜2回を習慣に
  • 乾燥による風邪予防に粘膜保護食品を
    • ビタミンA(人参・かぼちゃ・レバー)

合宿や遠征時

  • コンビニ食中心になるなら…
    • 主食+サラダチキン+味噌汁+ゆで卵など、組み合わせを工夫
  • 外食では脂質・塩分が増えるため、帰宅後に調整を意識

14. 女性ランナー向けの工夫

貧血予防は最優先課題

  • 鉄分+ビタミンCの組み合わせで吸収UP
    • 例:レバー+小松菜+オレンジジュース
  • 月経による鉄損失は「通常時の2倍以上」にも
  • サプリで補うならヘム鉄+葉酸タイプを推奨(医師と相談を)

✅詳しくはこの記事もどうぞ!

▶女性ランナーのための食事術|貧血予防・ホルモン対策・美容と走力の両立まで完全解説!

ホルモンバランスに応じた食事

タイミング体の変化食事の工夫
月経前むくみ・疲れやすさ塩分控えめ、鉄分強化、イライラ対策にMg食品(ナッツなど)
排卵期代謝が上がる炭水化物をやや増やしてもOK
月経後安定期ハード練習のタイミング。PFCバランス重視

15. よくあるQ&A

Q1. 糖質を摂りすぎると太りますか?
→ 運動量に対して適切なら太りません。問題は「脂質と一緒に高糖質を摂ること」。炭水化物単体で摂る(例:おにぎり、うどん)方が太りにくい。

Q2. 朝食は抜いてもいいですか?
→ 基本的にはNG。特に朝練のある日は“脳と筋肉の燃料”が不足し、パフォーマンスも怪我リスクも高まります。バナナやプロテインドリンクだけでも摂りましょう。

Q3. プロテインって必要ですか?
→ タンパク質を食事で充分摂れていれば不要ですが、忙しい朝やトレ後すぐのタイミングに“補助”として非常に有効です。

Q4. 外食ばかりになってしまう時の対策は?
→ コンビニや外食チェーンでも以下を意識:

副菜:野菜スープ、味噌汁、ゆで卵、海藻

主食:おにぎり、ごはん

主菜:焼き魚、サラダチキン、卵料理


16. まとめ|「食べる」ことは「走る」ことと同じくらい大事

ランナーにとっての食事とは、単なる日常習慣ではなく、トレーニングの一部であり、自己管理の要です。

  • 良い練習は良い食事から
  • 疲れを残さない食事が継続の鍵
  • 結果を出す人は、食事の質とタイミングを大切にしている

完璧である必要はありませんが、「今日は走るから炭水化物を増やそう」「疲れているからタンパク質を意識しよう」という小さな工夫が、日々の成長につながります。

走るだけでなく、食べることも強くなる一歩。この記事をきっかけに、あなた自身の「ベストな食事習慣」を見つけてください。

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