
はじめに
マラソンや陸上競技、日々のジョギングを習慣化しているランナーの皆さん、練習後の記録、どうしていますか?
ただ「走った距離」や「時間」を記録するだけでは、練習日誌の本来の価値を最大限に活かせていないかもしれません。
実は今回、実家で自分の部屋だった場所を整理していたところ、中学校の時の練習ノートが3冊出てきました。練習ノートを書いていたことは記憶にあったのですが、内容が今みると「こんな事考えていたんだな」ということや、「こんなに練習していたんだ」っていうような気付きがたくさんありました。
練習日誌は、走力向上の土台であり、故障予防・メンタル維持・レース戦略の立案にも大きく関わるツールです。
本記事では、「どんな内容を書けばいいのか」「どのフォーマットが最適か」「日誌がもたらす効果」まで、徹底解説します。

38歳3児のパパランナー。
2011年に現役を引退。地元に戻り、香取小江戸マラソンや地域イベントにも積極的に参加。会社員をしながら市民ランナーとして活動。YMD NEXT×RUNの指導をオンライン中心に展開中。
【実績・経歴】
・山田中学校
県大会優勝、県駅伝優勝
・市立船橋高校 (体育科専攻)
県大会優勝、インターハイ出場
・駒澤大学 (文学部心理学科専攻)
2009年箱根駅伝第4区出場、関東インカレ決勝進出
・富士通
大田原マラソン第3位、パリマラソン17位(アジア1位)
目次
- 練習日誌とは?その役割と効果
- なぜ練習日誌をつけるべきか?
- 練習日誌に書くべき10の項目
- 初心者・中級者・上級者それぞれの書き方のコツ
- 紙とデジタル、どちらがいい?おすすめの記録方法
- 続けるコツ|三日坊主で終わらせないために
- 実例紹介|トップランナーの練習日誌はこう書く
- 練習日誌を生かす|振り返り・分析・調整の仕方
- よくある失敗例とその改善策
- 練習日誌でメンタル強化もできる?
- 子どもや初心者におすすめの記録習慣
- まとめと、明日から始めるステップ
第1章:練習日誌とは?その役割と効果
練習日誌とは、ランナーがその日ごとの走行内容や体調、心境などを記録する「走るための手帳」です。
一見単純な記録のように思えますが、これは単なる“日記”ではありません。練習の質を高め、パフォーマンスを客観的に見つめ、調子を整えるための“鏡”なのです。
主な効果
- 走力向上:走行距離やペースの変化を客観的に把握でき、負荷の調整がしやすくなる
- 故障予防:疲労度・違和感の記録で、故障の前兆に気づける
- メンタル管理:気分の浮き沈みやモチベーションの記録により、心のリズムがわかる
- ピーキング管理:レース前の調整や直前の動きが、後々の結果につながる
- 振り返りができる:うまくいった時、ダメだった時の“理由”を見つけやすい
第2章:なぜ練習日誌をつけるべきか?
自分の身体と心を知るため
走り続けていくうちに、「なんで今日はうまく走れなかったんだろう?」「最近疲れが抜けない気がする」などの疑問が出てくるはずです。
これらの“変化”に気づくためには、日々の記録が不可欠です。
練習の“見える化”
練習日誌があることで、ただ走るだけの日々から、「目的のある練習」に変わります。
どんな練習が得意で、どんな練習が苦手なのか、自分のパターンが見えてきます。
モチベーション維持
「今日はしんどかったけど、振り返ってみたら先月よりかなり走れてる」
こんな小さな“成長の証”が、次の練習の活力になります。
第3章:練習日誌に書くべき10の項目
具体的に、どんな内容を書けばよいのでしょうか?以下の10項目を押さえておくと、質の高い日誌になります。
- 日付・曜日・天候
- 例:2025年5月6日(月) 晴れ 22℃
- 距離と時間
- 例:15km / 1時間10分
- コース内容
- 例:河川敷周回×3本(フラット、向かい風あり)
- 練習目的
- 例:Eペースでの持久力維持、疲労抜きジョグ、LT強化など
- ペースや心拍数(Garminなどのデータ)
- 例:平均ペース4′40″/km、最大心拍数168bpm
- 体調・睡眠・体重
- 例:睡眠6時間、やや寝不足/体重58.3kg/脚重め
- 気持ち・モチベーション
- 例:「前半しんどかったが、後半乗ってきた」「モチベ低め」
- 補給・食事・水分
- 例:朝バナナ+プロテイン/走行後:おにぎり・経口補水液
- 違和感・ケガの兆候
- 例:右ふくらはぎに少し張りあり、注意要
- 一言メモや感想
- 例:「この時期は風が強くて思ったよりしんどい。フォームを意識できたのは◎」
第4章:初心者・中級者・上級者それぞれの書き方のコツ
練習日誌は、レベルによって記録すべき内容や重点が少しずつ異なります。自身の目的に合わせた書き方を意識しましょう。
初心者(ランニングを始めたばかりの方)
- 記録のシンプルさを優先
→ 日付・距離・時間・気持ち・体調 だけでも十分 - 気持ちや達成感を丁寧に書く
→ 「3kmでも歩かずに走れた」「体が軽くて気持ちよかった」など
中級者(週3〜5回走る習慣がある人)
- 目的・ペース・強度を明記
→ 「今日はペース走(4′50/km)で15km」「ビルドアップ成功」など - 疲労感やリカバリー状況を分析
→ 連続で重く感じる時は過負荷のサイン
上級者(記録を狙っている競技志向の方)
- 詳細な分析と次の戦略まで記録
→ 「乳酸閾値を意識した練習の感覚」「スパート時の感覚」など - フォームやピッチ、心拍数の変化にも注目
→ GarminやSTRYDなどを活用して数値分析
第5章:紙とデジタル、どちらがいい?おすすめの記録方法
紙のメリット
- 書くことで記憶に残りやすく、感情も表現しやすい
- 電池切れやログ消失の心配なし
- 日記帳のように読み返す楽しみがある
紙のデメリット
- グラフ分析や数値の記録には不向き
- 書く習慣がない人には続けづらい
デジタルのメリット
- 自動記録・グラフ表示・シェアが簡単
- アプリで管理すればスマホ一つでOK
- Garmin ConnectやStravaで一括管理可能
デジタルのデメリット
- 感情的な記録が疎かになりがち
- 書く習慣の「意識づけ」が弱まることも
結論:ハイブリッドが最強
- 練習のデータ(距離・時間・ペース)はアプリ
- 気持ちや学びは紙のノート
→ これで「走りの見える化」と「自分との対話」の両立が可能になります
第6章:続けるコツ|三日坊主で終わらせないために
- 完璧を求めない
→ すべてを毎日書こうとせず「ざっくりでOK」と思うことが継続の鍵 - 書く時間を固定する
→ 走った直後、お風呂上がり、就寝前など「ルーティン化」 - テンプレを用意する
→ 自分なりのフォーマットを決めておけば時短&ストレスフリー - 週単位でもOK
→ 忙しい日は、週末にまとめて振り返るのも一つの手 - 仲間と共有する
→ チームやSNSで「記録公開」すると続きやすくなる人も
第7章:実例紹介|トップランナーの練習日誌はこう書く
ここでは、実際の競技者たちの練習日誌からヒントをもらいましょう。
実業団ランナー(例:30代・マラソン2時間15分)
- 「朝10kmジョグ(4′40)→夕方1000m×6本(3′05)」
- 「前日比で心拍数+6、寝不足の影響と判断し負荷を下げる」
- 「ラスト1本は余力あり。週末の30km走に向けてピーキング良好」
学生ランナー(例:大学長距離・箱根駅伝出場者)
- 「10000mPR更新(30分切り)/練習内容:ペース走+流し5本」
- 「朝食の摂り方とスタート時のエネルギー感覚に注目。今後も試行」
一般市民ランナー(例:サブ3達成者)
- 「ジョグ+WS、心拍の上下を意識して走る」
- 「仕事で寝不足の割に走れた。今週のメニューは負荷高めかも」
→ ポイントは、主観+客観の両方を記録していることです。
第8章:練習日誌を生かす|振り返り・分析・調整の仕方
記録するだけでは意味がありません。「活用」が本番です。
- 週ごとの振り返り
→ 「今週は走行距離〇km/強度:中/体調:良好」などの総括 - 月ごとの傾向分析
→ 「疲労が抜けなかった週に共通するパターンは?」
→ 「調子がいい時の食事や睡眠は?」 - レース前後の比較
→ 「調整がうまくいったレースの準備は何が違ったのか?」 - データで見える化
→ Garmin ConnectやStravaのグラフで「数字の裏付け」を得る
第9章:よくある失敗例とその改善策
失敗例 | 原因 | 改善策 |
---|---|---|
書くのが面倒になる | 完璧主義、情報量過多 | 最低限のテンプレをつくる |
書いても意味を感じない | 振り返っていない | 週1回の“まとめ読み”を実施 |
形式だけになっている | 感情の記録がない | 主観メモ(楽しい・辛いなど)も入れる |
書き続けられない | 習慣化できていない | 時間と場所を固定する |
第10章:練習日誌でメンタル強化もできる?
意外かもしれませんが、練習日誌は“心のトレーニング”にもなります。
成長実感で自己肯定感が上がる
- 「3ヶ月前より走れるようになった」
- 「苦手な練習も継続できた」
→ 記録に残すことで、自信につながる“証拠”が積み上がります。
ネガティブな感情の整理ができる
- 「今日は全然走れなかった。イライラした」
→ そう書くことで、気持ちが落ち着くことも多いです。
挫折からの回復を早める
- ケガやスランプ期の記録こそ大事。
- 「今後どう変えていくか」を前向きに考えるきっかけに。
第11章:子どもや初心者におすすめの記録習慣
小中学生や初心者にとっても、練習日誌は非常に有効です。
- 楽しかったことを書く
→ 「今日は友達と一緒に走った」「〇〇の応援が嬉しかった」 - 目標と達成の記録
→ 「次は5分間歩かずに走る!」「今日は達成できた!」 - 親やコーチと共有する
→ 成長を一緒に確認し、モチベーションを高める材料に
→ 「数字より気持ち」を大切にするのがポイントです。
第12章:明日から始めるステップ
練習日誌は、ただの記録ではない
それは、自分の成長を可視化し、調子を整え、心の声を聴く「ランナーの相棒」です。
明日からできる!日誌習慣スタートのステップ
- ノートorアプリを1つ決める
- 「テンプレート」を作っておく(紙でもスマホメモでもOK)
- 走ったら、その日のうちに2〜3行でいいので記録する
- 週末に振り返りをして、「調子」「学び」「目標」を1行でまとめる
まとめ|練習日誌はランナーの最強の武器
練習日誌は、走った記録をただ残すだけのものではありません。
それは「気づき」を得るためのツールであり、「自分と向き合う習慣」であり、何より「成長の証」です。
初心者から上級者まで、どんなレベルのランナーでも、日々の記録から学び、変化に気づき、次の一歩を考えることができます。
完璧でなくていい、数行でもいい。走った後の“ほんのひと手間”が、1ヶ月後、1年後の自分を大きく変えてくれます。
今日から、あなたも“走る”だけでなく“記録する”ことを始めてみませんか?
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